Breath of air   -うす緑 ふか緑- The new building

広島県中央・東部に位置する三原市。 北の山地と丘陵を背に、南には美しい瀬戸内海が広がる。 大峰山系によって区分される南北の景勝美は様相を異にし、この土地の表情を一層豊かなものにしている。  中四国のほぼ中心に位置し、古くから海上交通の要衡として栄え、現在では陸・海・空の交通拠点としての役割も果たしている。 
この建物は、市の中心市街地に計画している 家族3人が住む専用住宅である。
敷地に対して東の隣地にはご両親の住まいがあり、その庭には大きな桜の木が枝を広げている。 西には幅員4.5mの道路、北には立体駐車場を有する高層マンションが聳え立つ。  この敷地に対しての設計条件は 「 街中での生活における快適性の追求 」 にある。 第一にマンション駐車場からの音と視線への対策は必須であり、そこから全体計画をスタートさせている。 「 閉じるべきところに閉じ、開くべきところに開く 」 シンプルな発想ではあるが街中の住宅には有効だ。 建物のまわりに木製のスクリ―ン壁を配置し、外部に対して柔らかに一線を引く。 建物は壁の内側で独自の「 外 」を作る構成となっている。 スクリーン壁内外には植栽を施し、視界に映る緑に連続性を持たせている。 さらに効果的な採光にこだわり、建物の高所・低所に計算された開口部を設けている。 開口部は通風にも大切な役割を果たし、室内に風がめぐれば快適性が向上する。  開口部とは「 光と風の通り道 」、その入り口であって出口でもある。  居室の配置については体内時計の作用に着眼、光によるリズムをシンプルに捉えてみた。 起きて活動する部屋には明るさを、眠る部屋には落ち着つきを。 一日の大半を過ごす居間スペースを中心にフロアを構成。 寝室はあえて若干の地下部屋風にしつらえる。 土を掘るというよりも、部屋の外に小さな丘を作るという発想である。 これにより居住スペースの面積配分に効率性を持たせることが可能であり、同時に落ち着いた空間が適えられる。 居間からはご両親宅の庭を眺められるようにしている。 大きな桜の木は花の頃は勿論、葉桜から新緑へ~深緑から紅葉へ~そして落葉の移ろいが美しい。 その桜の木を風景に取込み、2世帯がそれぞれの空間から眺める事が出来る。 それは素敵な事だと思われた。  この住宅では、プライバシーの確保を満たしながら伸びやかで深呼吸ができる住まいを提案している。 冒頭でも紹介しているが、ここ三原は瀬戸内海の優しい風景に抱かれた港町である。 この土地の風情を建物にもふわりと纏わせながら、快適な住まいをつくりたいと考えている。

河口 佳介 + K2-DESIGN
主催 河口 佳介
 

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