静岡県浜松市内で計画している専用住宅である。 敷地の前面に幅員20m程度の道路があるため一日中交通量が多い。
よって、特に朝晩の騒音対策とプライバシーへの配慮が設計の要となる。 さらに4台分の駐車スペースの確保も必要条件であり、これらの対策として2階部分をキャンティーレバーの構造体とし、下部に駐車スペース、上部を居住スペースの一画として利用。 この構造体により、道路に面して柱が無い分 車の出し入れが比較的容易となり、駐車台数にも対応できる。 また、敷地に対しての建物面積を最大限有効に利用することが可能となる。 さらに居住性を高めるために道路に面して建物を閉じることにした。 通風および採光・暮らす上での開放感は、「開ける(ひらける)ところ」 に開口部を設け、明瞭で有効なデザインを考えている。 この建物のテーマ、ー 奏効 ー 。 様々な条件対策を効果的に組み合わせることにより、結果として住まいの質が向上するよう機能的かつ効率的な設計を計画している。
「I-HOUSE」建物完成見学会のご案内
静岡県浜松市 鴨江町で現在工事中の建物「I-HOUSE」の建物完成見学会を、クライアント様のご協力により6月15日[土曜日],16日[日曜日]の2日間AM10:00~PM18:00の時間帯で開催いたします。
見学会は完全予約制となっておりますので、マブチ工業 0120-17-2347 又は,info@mabuchik.comまで、ご予約、お問い合わせ下さいませ。
designboom のwebサイトに我々の設計した2物件が掲載されています。
FLAT40
http://www.designboom.com/architecture/k2-designs-flat-40-in-japan-balances-privacy-and-openness/
rhythm and pium tree
http://www.designboom.com/architecture/k2-designs-rhythm-and-plum-tree-home-plays-with-light-and-glass/
designboom : http://www.designboom.com/
愛媛県北東部に位置する今治市。 瀬戸内海国立公園を擁し、多島美の景観が美しい しまなみ海道 によって広島県尾道市と結ばれている。 波が穏やかな良港を持つことから全国有数の造船地区へと発展し、タオル工業も有名である。 この建物は、ここ今 治の市街地に 家族4人が住む専用住宅として建築された。 敷地は東面の道路から西に向かって細長く、水路を挟んで北側に広い庭を持つ邸宅、南側には7階建のマンションが聳え立つ。 第一に誰もが考えさせられるこの敷地に対しての設計条件は、マンションからの視線対策である。 彩光と通風を確保しつつ、プライバシーをどのように守るか。 そこでこれらの条件を適える為に、建物の南側に全長40mのコンクリート製スクリーン 壁を配置することにした。 壁のサイズと構造については、諸条件に対して緻密な計算を行っている。 構造的特徴は 「 浮壁 」。 壁自体を地面から浮かせ、室内から1.5mほど距離を持たせている。 そしてもう一つの特徴は 「 コンクリート製の壁 」。 あえて重量のあるコンクリートを採用した事には意味がある。 この壁が果たす重要な役割から、その構造的意味合いは、あくまで建物と同等のレベルでな くてはいけなかった。 建物は平屋建とし、壁の強度と居住性の高さを追及した断面構造にしている。 以上の考察を経て完成した浮壁の効果は次の通りである。 マンションのどの階からも室内への視線を遮り、逆に室内からは敷地内に入る人の足元が確 認できる。 更に、十分な採光と通風を確保し、プライバシーと防犯の両面に対策を取りながら、室内環境を整える事を可能とした。 浮壁と建物本体は重 量バランスに則って強固な連結を施し、さらにエアコン室外機の格納も兼ねている。 全面を白一色にした事についても、美観を考察した結果である。 フラットに佇む白は、日中から夕刻へと変わる空の色を柔らかに捉える。 夜は適所に設置された照明と壁の隙間からこぼれる室内灯によって、その趣を変える。 ~時間の流れを素直に映し出すスクリーンとしての効果を持たせた。 室内は、この浮壁を基に構成されている。 東西に長い建物を、スキップフロアにより南北に2分割。 大型多目的の収納スペースを豊富に設け、 スッキリと暮らせる工夫をしている。 各個室はその機能を有しながらも、視覚的に分断される事が無いよう境界壁を下げ、同一素材の木目の天井を張り巡 らしている。 更に中庭から敷地北側のプールまで、ガラス壁の連続による大胆な抜けを施した。 スキップフロア上部のリビングダイニングからの眺 めは開放的であり、北東に配したオーディオルームの様子も含めて、ここで生活することの贅を存分に感じる事が出来る。 視界の抜けは、大きなガラス面 以外にも室内のいたるところに仕掛けられている。 地震対策も考慮して軽量化した屋根面。 その所々に施した植栽がハイサッシに緑の頭をのぞかせ、 その向こうに空が広がる。 室内のどの位置からも緑と空を仰ぎ見る事ができ、更に室内にこぼれる光は、一日の時間的な移り変わりや四季の風景を粋に演 出する。 風に揺れる植物のシルエットや夕方の琥珀に似た色彩が壁面に映る様は絵画的だ。 闇が落ちてからは灯りが揺らぎ、また別の趣も醸し出 す。
プライベートな居室は室内廊下で仕切られている。 この廊下は、さながら路地の風情を湛え、中庭を挟んで東西に渡る一本道。 奥行 きの美観や居室振り分けの役割の他、風の通り道としての機能も併せ持つ。 浮壁の下から取り込まれる風は、この廊下を介して室内を効果的に流れる。 優しい路地風である。
この建物の完成は春。 中庭の花桃の木から、時折小さな花びらが舞い落ちる。 その情緒深い様子を愛でている 時、室内に心地よい風が流れた。 微かに春の香を纏っている。 目に映る美しさには価値がある。 しかし目を閉じても感じ得る心地良さは、何 にも勝る豊かさであると思われる。
「 内 」 に 存在する 「 外 」 ・ 「 屋内に展開する もうひとつの屋外 」 ~ その快適性とドラマ性を深く考察し続け、この建物の建築に取り組んできた。
河口 佳介 + K2-DESIGN
主宰 河口 佳介
四万十の家
イタリアの建築 雑誌 DOMUSのウエブサイト中で四万十の家が紹介
されました。
DOMUS
建築事務所 K2-DESIGN Inc. Architect&Associates WORKS – 四万十の家
Kochi
completion:2012.3 –
高 知県富岡郡四万十町。 北に四国山脈、 南に太平洋、 中央には 清流・ 四万十川 が悠々と流れている。 この地域は、台地でありながら山々に囲まれた盆地でもあり、さらに四万十川が縦断していることで霧が発生しやすい環境にある。 夏から秋にかけてはそ の現象が顕著で、一年を通して降雨量も多い。
広々とした田園風景の中、二方向道路の角地にこの住宅は存在する。 美しい環境ではあるが、こ こに家を建てるにあたり、次の条件において適切な対策を取らねばならなかった。 「 大雨 」 と 「 北側に面する国道 」 である。 大雨に関して は、それによる被害を想定の上回避方法を探った。 降雨量が多い土地であるだけに、この点は第一に考えねばならない事項でもあった。 国道に関して は、昼間の交通量が多めであり、行き交う車の騒音やドライバーからの視線が問題となる。
これらの敷地条件に対し、いかに日常の住環境を守り ながら快適な暮らしを提供できるか。 この課題に向き合い設計の核とするところから、今回のプロジェクトはスタートした。 まず第一に大雨対策とし て、屋根の形状を出来るだけシンプルにすることで降雨を逃し、さらに敷地内外の排水計画に支障がないよう、段階的に考察を重ねながら全体の計画を行った。 車による視線と騒音については、北側の道路面に対して建物を閉じ、対する南面に間口を大きく開放する事で解決できると考えた。 それに伴い、明確な構 成に則って居室を配し、同時に外観デザインにもこだわった。 機能的であり、風景に馴染みながらも凡庸ではない個性を表現したいと考えた。
こ の敷地周辺の伸びやかさを室内にもリンクさせるために、勾配屋根の形状を利用して天井高を確保。 さらにハイサイドライトを採用し、通風・換気・採光の 役割を担わせた。 風のめぐりに乗って空気が循環するため、室内の快適性は向上する。 また、曇天の日でも高位置から自然光を取り込むことによって、 室内の明るさは格段に変わってくる。 リビングと寝室の南面に大きく設置した開口部は、室内から屋外へと伸びやかに続く視線の抜けをもたらした。 フロアには、必要に応じて開閉できるフレキシブルな引き戸も設置している。 寒暖の調節や家族それぞれの過ごし方に応じて、柔らかく線を引くことがで きる。 見上げた天井から緩やかに視線を落とすと、ゆったりとした室内を見渡せる。 さらに南面の先にはのどかな田園風景が続き、内外が視覚的に 繋がる。 その連続性が一層のゆとりを感じさせる。
外観デザインにおいても 「 繋がり 」 をコンセプトとし、のどかな田園の中に小高い山が存在するかのように、大地の連続性を感じさせる佇まいを表現した。
四 万十町は国の文化的景観地区である。 ヤイロチョウが飛来する森林、清流四万十川、風光明媚な小室の浜。 山・川・海 ~ 豊かな自然に育まれるてい るこの地域はどこまでも大らかである。 今回のプロジェクトでは、この土地の持つ飾り気のない優しさと力強さに、終始感銘を受け続けた。 そして 「 そこにあるべき建物の姿 」 について、現在はもとより未来に向けても深く考察を重ねてきた。 ここにある自然と共に建物は年月を積み重ねる。 自然風景が人の心を動かすのは、時を重ねるほどにその在り様を成熟させていくからだと思われる。 人が住まう建物も、時の流れの中でいかに成熟を叶え 深めていけるかに、本当の価値が問われるのではないだろうか。 建物は年月が経過すれば古くなるが、存在意義は進化する。 これらの事を追及しなが ら、我々はこのプロジェクトに向き合ってきた。 そしてこの追及は 「 設計が持つ意義 」 において、我々の考察の核となる部分であり、根底に常時 存在するものでもある。
河口 佳介 + K2-DESIGN
日本建築学会 中国建築文化賞で「瀬戸内の家」が2012年度の作品賞を頂く事ができました。
今年の受賞者は1人、非常に喜ばしい1日となりました。
建築事務所 K2-DESIGN Inc. Architect&Associates WORKS – 瀬戸内の家(瀬戸内)
HIROSHIMA/MIHARA
completion:2008.03 –
瀬戸内海が眼下に広がる山腹。 南東の尾道水道から南西に目を向ければ、瀬戸田をはじめ大小の島々を遠くまで臨むことができる。 北西側には瀬戸内海 国立公園に指定されている筆影山を背負い、森の空気が清々しい。 この場所では鳥のさえずりや木の葉のそよぎが耳に心地よい。 坂道を登りこの敷地に 到達すると、目の前にひらける風景に思わず息をのむ。 敷地はかなりの高台にあり、この建物の2階から視界を遮るものは何もない。 我々は、この場所 にふさわしい家を建てようと考えた。 美しい景観を最大限に享受できる家である。
建物は、鉄筋コンクリートと鉄骨造の2階建。 1階 をコンクリートの閉じた箱とし、寝室とサニタリー、スモールリビングによって構成。 箱の上部 ~ 2階部分には、リビングおよびダイニングキッチン ・ 書斎スペースを配置している。 2階スペースは、これといった間仕切りは設けていない。 あえて言うなら吹き抜けの中庭、ガラス越しのシンボル ツリーがその役割を担っている。 壁面には360度、水平窓を設けた。 「 窓 」 というより 「 ガラスの壁 」 という発想である。 建て物 を取り囲む景観は全てが魅力的であり、どの側面に対しても閉じる理由が見つからなかった。
景色を堪能しようと思えば、余計なものは何一つ いらない。 サッシの枠さえも風景を分断してしまう。 よって、この枠を天井からの下がり壁の小口に隠すことにした。 カーテンも適さないと判断 し、障子を選択。 さらにその障子も横のスライドではなく上下のスライドとし、サッシ枠同様下がり壁の中に格納した。 ガラス下・床面から30㎝の立 ち上がりは、ここで過ごす人々の自由な寛ぎ場所である。 好きな場所で好きな風景を眺め、好きなコーナーで、好きなことを楽しめる。 キッチンはステ ンレス製を採用。 美しさを保てるという機能に合わせ、その硬質な印象が窓外の緑をより一層引き立てると考えた。
ここでは 「 時 」 を存分に堪能することが出来る。 四季の移ろい ・ 一日の移ろい ・ 天気の移ろい ~ 空と海、木々の色彩と影が、時を教えてくれる。 陽 がある時間帯のパノラマ的な美しさは格別であるが、月夜の晩も殊更に美しい。 水面に映る白光は静謐であり、眼下の小さな町灯りと相まって趣深い。 室内灯を消して月あかりに過ごせば、美しい異空間を感じることができるだろう。 月のない夜にはキャンドルを灯しても素敵である。 炎のゆらめきは四 方のガラスに幾重にも映り込み、昼間とは違った表情を醸しだす。
この建物は、敷地に委ねる感覚を大切にしながら計画されている。 設計の中で建て物に対しての造作を吟味し、余分なものは引き算しながら造り上げてきた。 美しい環境と建物を一体化させることに重きを置いた結果、一見 モダンではあるが落ち着いた空間を構成することができた。 景色を満喫できる空間での暮らし方 ~ その自由性の高さを大切にすることで、建物はおのず とシンプルな構成となった。
自然の原風景や瀬戸内海を往来する船を生活の一部に取り込み、ゆったりとした時間の流れに身をゆだねる。 ここに暮らす豊かさや安らぎを、この建物を通して提供していけたら幸いである。
河口佳介 + K2-DESIGN
ASSES`BRIDGEアシーズブリッジ 岡山店
本日3月30日OPENいたしました。
アウトドアShopでこの名を知らない方はいないのではないでしょうか。
実は学生時代アルバイト第1号として雇って頂き、現在もなお五城社長さんには可愛がって頂いてます。
この度ASSES`BRIDGEアシーズブリッジ 岡山店の設計をお手伝い
させていただき、本日無事OPENとなりました。
このお店の場所は高速道路岡山インターを降りて津山方面に1分の非常にわかりやすい場所にあります。
これからアウトドアのシーズンです、皆様是非 ASSES`BRIDGEアシーズブリッジ 岡山店に立ち寄られてみてはいかがでしょうか!!!
愛媛県今治市で現在工事中の建物「FLAT40」の建物完成見学会を、クライアント様のご協力により3月23日[土曜日],24日[日曜日],25日[月曜日]の3日間
AM10:00~PM17:00の時間帯で開催いたします。見学会は完全予約制となっておりますので、K2-DESIGN 084-973-5331,または、info@k2d.co.jp まで、ご予約、お問い合わせ下さいませ。当日は駐車場もご用意してありますので、車でのご来場も可能です。会場はしまなみ海道を渡るとすぐそこです。桜のシーズンですドライブをかねて見学会に参加されてみられてはいかがでしょうか、お待ちしております。
CONCEPT
現在計画している専用住宅の建て替えプロジェクトであ る。 東西に細長い敷地、その南側には6階建てのマンションが大きくそびえ立っている。 この『FLAT40』は、横幅40mの浮き壁構造体を持ち合わせ る コンクリート平屋建のシンプルなデザイン提案となっている。 外部からの視線を遮り、浮かせた壁の下から室内にフレッシュな空気を取り込める事を要として いる。 また、地震災害にも充分耐える事が出来るよう屋根面を軽量化。 屋上の一部に施された緑化部分は、室内にいながら 常時 「緑」を感じられる事に,ひと役買っている。更に4人家族の生活する空間とは別に、屋内にDOG RUNや中庭 ・ オーディオルームを併設した。 スキップフロアの中に 人・緑・動物 が共に生活できる新しい空間領域を構成、提案している。 面積には大変ゆとりがあるものの、環境には 「至近に大型マンション 」という課題を抱えるこの敷地。『囲み』と『抜け』のバランスを緻密に計算するこ とにより、課題を逆手に取ることが可能と考えられた。浮壁の中に展開されるゆとりと安らぎを 風の通り道や効果的な採光と共に、植栽による緑の連続性~そ の視覚効果に委ねている。屋内に展開する「もう一つの屋外」。そのドラマ性をも意識しながら計画を進めた。
K2-DESIGN Keisuke.Kawaguchi
愛媛県今治市でのプロジェクト「FLAT40」建物完成見学会のご案内です。
愛媛県今治市で現在工事中の建物「FLAT40」の建物完成見学会を、クライアント様のご協力により3月23日[土曜日],24日[日曜日],25日[月曜日]の3日間
AM10:00~PM17:00の時間帯で開催いたします。見学会は完全予約制となっておりますので、K2-DESIGN 084-973-5331,または、info@k2d.co.jp まで、ご予約、お問い合わせ下さいませ。当日は駐車場もご用意してありますので、車でのご来場も可能です。会場はしまなみ海道を渡るとすぐそこです。桜のシーズンですドライブをかねて見学会に参加されてみられてはいかがでしょうか、お待ちしております。
担当 河口 龍野