日本建築学会 中国建築文化賞

日本建築学会 中国建築文化賞で「瀬戸内の家」が2012年度の作品賞を頂く事ができました。
今年の受賞者は1人、非常に喜ばしい1日となりました。

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建築事務所 K2-DESIGN Inc. Architect&Associates WORKS – 瀬戸内の家(瀬戸内)
HIROSHIMA/MIHARA
completion:2008.03 –

  瀬戸内海が眼下に広がる山腹。  南東の尾道水道から南西に目を向ければ、瀬戸田をはじめ大小の島々を遠くまで臨むことができる。  北西側には瀬戸内海 国立公園に指定されている筆影山を背負い、森の空気が清々しい。  この場所では鳥のさえずりや木の葉のそよぎが耳に心地よい。  坂道を登りこの敷地に 到達すると、目の前にひらける風景に思わず息をのむ。  敷地はかなりの高台にあり、この建物の2階から視界を遮るものは何もない。  我々は、この場所 にふさわしい家を建てようと考えた。  美しい景観を最大限に享受できる家である。  
  建物は、鉄筋コンクリートと鉄骨造の2階建。  1階 をコンクリートの閉じた箱とし、寝室とサニタリー、スモールリビングによって構成。  箱の上部 ~ 2階部分には、リビングおよびダイニングキッチン  ・ 書斎スペースを配置している。  2階スペースは、これといった間仕切りは設けていない。  あえて言うなら吹き抜けの中庭、ガラス越しのシンボル ツリーがその役割を担っている。  壁面には360度、水平窓を設けた。  「 窓 」 というより 「 ガラスの壁 」 という発想である。  建て物 を取り囲む景観は全てが魅力的であり、どの側面に対しても閉じる理由が見つからなかった。   
 景色を堪能しようと思えば、余計なものは何一つ いらない。  サッシの枠さえも風景を分断してしまう。  よって、この枠を天井からの下がり壁の小口に隠すことにした。  カーテンも適さないと判断 し、障子を選択。  さらにその障子も横のスライドではなく上下のスライドとし、サッシ枠同様下がり壁の中に格納した。  ガラス下・床面から30㎝の立 ち上がりは、ここで過ごす人々の自由な寛ぎ場所である。  好きな場所で好きな風景を眺め、好きなコーナーで、好きなことを楽しめる。  キッチンはステ ンレス製を採用。  美しさを保てるという機能に合わせ、その硬質な印象が窓外の緑をより一層引き立てると考えた。     
 ここでは 「 時  」 を存分に堪能することが出来る。  四季の移ろい ・ 一日の移ろい ・ 天気の移ろい ~ 空と海、木々の色彩と影が、時を教えてくれる。  陽 がある時間帯のパノラマ的な美しさは格別であるが、月夜の晩も殊更に美しい。  水面に映る白光は静謐であり、眼下の小さな町灯りと相まって趣深い。   室内灯を消して月あかりに過ごせば、美しい異空間を感じることができるだろう。  月のない夜にはキャンドルを灯しても素敵である。  炎のゆらめきは四 方のガラスに幾重にも映り込み、昼間とは違った表情を醸しだす。     
 この建物は、敷地に委ねる感覚を大切にしながら計画されている。   設計の中で建て物に対しての造作を吟味し、余分なものは引き算しながら造り上げてきた。  美しい環境と建物を一体化させることに重きを置いた結果、一見 モダンではあるが落ち着いた空間を構成することができた。  景色を満喫できる空間での暮らし方 ~ その自由性の高さを大切にすることで、建物はおのず とシンプルな構成となった。
 自然の原風景や瀬戸内海を往来する船を生活の一部に取り込み、ゆったりとした時間の流れに身をゆだねる。  ここに暮らす豊かさや安らぎを、この建物を通して提供していけたら幸いである。

河口佳介 + K2-DESIGN

 

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